別荘にて
デュオが楽しみにしていた日が来たのだが、どうもご機嫌斜めだ。
それもヒイロのせいで。
いざ別荘へ行こうとするとヒイロに止められいきなり服を渡された。それは白くふわっとしたワンピースで受け取ったデュオは眉をひそめる。
「なにこれ」
「今日はそれを着ろ」
「なんで勝手に決めるんだよ!俺は絶対嫌だからな!」
ぐしゃっとワンピースを潰すとヒイロに押し返し玄関に向かう。
「待て!どうしても着ないと言うなら…」
出ていこうとするデュオの肩を掴むとヒイロの方を向かせデュオの服の襟元に手をかけ無理矢理引き裂いた。
「ギャー!何すんだっこの変態!!」
わめくデュオを無視してテキパキと破いた服を脱がしワンピースを着せていく。ズボンに手をかけようとするとさすがにデュオの止めが入った。
「お前ふざけんなよな!俺はこんなの着たくないっ」
「ズボンも脱げ」
「だから嫌だっつてんだろ!」
「脱がないと言うなら…」
ヒイロは再度ズボンに手をかけようとする。
「わかった!わかったから俺にさわんな!」
ズボンを脱がそうとするヒイロの手を叩き落とし、渋々ズボンを脱いだ。
「足がスースーするんだけど…」
「そのうちなれる」
「こんな服に合う靴もないし…」
「用意してある」
何を言っても暖簾に腕押し糠に釘といった感じでデュオは言葉を失うと、ヒイロはデュオの髪の毛をいじり始めた。
抵抗は無意味だと感じたデュオはされるがままになっている。
「なあ…こんなの絶対変だって」
「よく似合ってる」
まさかヒイロがそんな事をを言うとは思っても見なかったデュオはまた言葉を失う。
「どうした?」
黙ってしまったデュオをいぶかしんで顔を覗きこむ。
「どうしたもこうしたもねーよ!何だかお前変だし気持ちわりーよ!俺、すげー鳥肌たっちまったぜ…」
そう言ったデュオは腕を擦りながらうえーっと声をあげた。そんな態度にヒイロはムッとしたが表には出さず、腕を引っ張って玄関まで行く。玄関にはワンピースに合わせた靴やら帽子やらバッグ等の小物が置いてありデュオは更にげっそりしたのだった…。これが朝の出来事でカトルの別荘に到着しても機嫌が治らないどころか更に下降していた。
朝の一悶着せいで予定より到着するのが遅れてしまった。
他の2人は先に着いているらしくみんなが集まっている部屋へ通される。
「ヒイロ!久しぶり」
テラスでお茶をしていた3人がこちらに気がつき寄ってくる。
「随分遅かったね。で、デュオは?一緒じゃないの?」
ヒイロはチラッと後ろを見て、デュオに声をかけた。
「デュオ入ってこい。それと部屋の中では帽子を脱げ」
ドアの後ろでもじもじしていたデュオはこそっと部屋を覗きまた戻ってしまう。いつもだったらヒイロをおいて1人で先にやってくるし、もじもじするような性格でもない。様子のおかしいデュオを心配したカトルが声をかけた。
「デュオどうかしたんですか?」
「いや…ちょっとその…」
「男だったらうじうじするな!」
煮えきらないデュオの態度に五飛が切れて怒鳴る。
五飛の怒りとヒイロの無言の圧力を感じ取ったデュオは意を決してみんなの前にたった。
デュオの姿を見てヒイロは満足そうに頷き、カトルは不思議そうな顔をして五飛は額に青筋をたてた。
唯一トロワだけは普段と変わらない顔をしているが、顔に出さないだけで驚いているのかも知れない…。
「デュオ、どうしたんですかその格好は?」
ショック状態からいち早く立ち直ったカトルが尋ねる。
「俺だって好きでこんな格好している訳じゃねーぞ!これはヒイロが無理矢理…!!」
「ヒイロ!貴様そんな趣味だったのかっ!」
五飛はヒイロの肩を掴みガクガクと揺さぶり、カトルも訝しげにヒイロを見つめている。
「ちょっと待て。お前ら話を聞け」
ヒイロはデュオが女だと言うことと、どうしてこんな格好をさせたのかをみんなに説明した。
「なるほど。この服はヒイロが揃えたのか?なかなか趣味がいい」
唯一まともそうに見えたトロワはちょっとおかしくなっている。
「トロワ!大丈夫かっ!?お願いだから戻って来てくれ!」
今度はデュオがトロワを揺さぶった。
「デュオ…君、本当に女の子なのかい…?その冗談じゃなくて?」
「まあ…本当に女なんだ…。それにあのヒイロが冗談を言うと思うか?」
落ち着いてデュオを観察しても女らしい所は無い。
胸だってないし女性特有の丸さもあまり感じられない。そして今はスカートをはいているのにがに股でトロワを揺さぶっている。やっぱりヒイロの冗談なのではないだろうかとカトルは思い始めた。
「カトル、疑っているようだがデュオは本当に女だ。俺が確認した」
「か、確認ってもしかして君…」
「もうそんなことはどうでもいいだろ!こんな所で立ってないで向こうでお茶しようぜ」
話を遮るようにデュオはカトルとヒイロの腕を引っ張りデーブルの方へ引き摺って行く。
「トロワと五飛も早く来いよ!」
遠くに旅立ってしまっている2人にも声をかけるが、トロワはまだしも五飛の方は立ち直れないでいるようだった。
別荘にて2→