よく見る夢がある。
暗い部屋。カーテンの隙間から入ってくる淡い光。寝ているせいでボサボサになっているみつあみ。長めの前髪に隠れている閉じた瞳。気持ち良さそうに寝ている顔に落ちる影。伸びてくる白い手。
いつも首もとに手が触れるか触れないかという所で目が覚める。
仕事に行けば毎日会う夢と同じ顔を持つデュオ。見かける度、話しかけられる度に首に目がいってしまう。そして夢を思い出し、更に一度だけ首に触れたあの夜を思い出す。
デュオが捕まり殺しに行ったはずなのに、何故か殺せず連れて帰ってきた夜。死んだように眠っているデュオ。手当てをした傷だらけの体。細い首。その首に触れる自分の手。怪我のせいか触れても目を覚まさない。徐々に力を込めていくと流石に気がついたのか、体に力が入り驚いた表情になった顔。閉じていた瞳はいつも以上に大きく開かれこちらを見つめていたがそれも少しの間だけだった。すぐに目を細め微笑み、体の力を抜きされるがままになる。その表情にこれ以上力をこめる気が失せ手を離す。何も言わずに目を閉じているデュオ。細い首に残る赤い手の痕。手に残る首の感触。その手を見つめ立ち尽くした。
あの時の感触を今でも覚えているのに、何故あの時デュオの首を絞めたのかわからない。どうして今も夢を見るのか、どうしてデュオを見る度視線が首に行くのか、どうして首を絞めたくなるのか、どうして殺したくなるのかわからない。
あの時よりも太くなった首を絞めている今もわからない。あの時と同じ、この手で与えられる死を甘受するかの如く、頬を赤く染め、苦しい筈なのに微笑んでみせる。わからない。自分が何をしたいのか、何を望んでいるのかわからない。手を離せばデュオの体が力なく床に落ちていく。あの時と同じく、首の感触が残る手を見つめ立ち尽くす自分。足元から浅い呼吸が聞こえてくる。死ななくて良かったと思う反面殺しておけば良かったとも思う。自分はデュオをどうしたいのかわからない。呆然と立ち尽くす自分をデュオは何も言わずに抱きしめ、子供をあやすかの様に背中をさすっている。密着した所から伝わってくる体温が心地いい。デュオは首を絞めた事にたいして何も聞かないし何も言わない。あの時も夢の中もそして今も。何も言わず微笑んでいる。総てを受け入れるように。この自分にも何だかわからない衝動も、この気持ちも全部。いつかデュオにたいして湧くこの衝動や気持ちが何なのかわかる日がくるのだろうか。
下ろしていた手をデュオの腰に回し肩に顔を埋めると、少し驚いたようだったがすぐに背中に回った手に力を入れて抱きしめられ、今度は頭を撫でてきた。それがとても気持ち良くてこのままずっといたいと思った。今もこれからも夢の中でも。
きっと今夜もあの夢を見るだろう。このままずっといたいと思っている以上に、デュオを殺してしまいたいと思っている自分がいるのだから。