候の話




戦争が終わり徐々に平和になってきている世界でデュオはプリベンターの誘いを断りジャンク屋を営んでいる。


仕事で留守にしていた家に2日ぶりに帰ってきたデュオは家を見るなり驚いた。
出る前に消していった2階の電気がこうこうと点ていたからだ。
まさか泥棒か?と思ったが、盗まれて困るものは持ち歩いている。留守中に勝手に上がりこんでいる友達もいない。
一体誰だ?と疑問に思いつつ銃を構え気配を殺しつつ家に近づき外階段を(自宅なのに)こっそり登り玄関で一呼吸おき 壁に背をつけて気配を探ろうとする。
その瞬間瞬間勢い良く扉が開いた。
中から出てきたのは見たことのある顔でデュオはため息をつく。
「なんでヒイロが俺の家にいるんだよ・・・」
デュオの呟きを無視してヒイロはデュオの腕を掴み家の中へと引きずっていく。
「ちょっ・・・!ヒイロ!!」
引きずられて到着したダイニングを見回し、隅っこに積んであるダンボールを見つけて眉間に皺を寄せた。
「あれは何だよ?」
「…学校に通うことにした」
「はぁ?」
ヒイロが学校に通おうが何しようがデュオには関係がない。
わざわざここにくる必要も無いだろ、とため息をついた。
「ここの近くにある学校だ」
「だから?」
「ここに住む事にした」
「はあっ!?」
「もう荷物もほとんど整理した。後はあそこに積んであるやつだけだ」
とヒイロは隅にある段ボールに視線を送る。
――前から自分勝手な奴だと思っていたがここまでとは…!
なんだか頭が痛くなってきた気がして眉間の皺が更に深くなった。
「ちょっと待て!家ん中見たならわかると思うけど、2人で住む広さじゃない!」
「大丈夫だ」
「何が大丈夫なんだよ!寝室は1つしかないんだぞ?」
「問題ない」
「だーっ!!俺が問題大有りだっつーの!」
デュオの家は自宅兼事務所で、2F の住居は風呂、トイレ、寝室、ダイニングキッチンのこじんまりとしたものだ。部屋のどこにいても2人とも気配に敏感なので気になってしまうだろう。
「お前だって人の気配がしたら寝れないだろ?」
「俺は平気だ」
即答され自分がシャトルを操縦している横でぐっすり眠るヒイロを思い返す。
「お・・・お前が良くても俺は嫌なんだ!第一、家主の了解を得ないで勝手に引っ越して来るなんておかしいだろ!!」
「…それはすまなかった。今日からここに住む。よろしく頼む。」
「ちょっと待て!お前は違う部屋を借りる気はないわけ?」
「お前はほとんど荷物の整理が済んだ人間に出ていけと言うのか?」
なにがあってもこの家から出ていかない気なのか…。
仕事の疲れに加え、ヒイロとの会話でデュオの疲れはピークに達した。
「…もう今日は寝る。また明日話そうぜ」
「俺はもう話すことは無い」

キッパリと言われて倒れてしまいそうになったが気力を振り絞り何とか寝室に向かい、着替えもせずベッドに潜り込む。
こんな時は寝てしまうのが一番だ。
明日になったらヒイロがいたことは全部夢で、起きたらいつもの日常が始まると信じて・・・。


カーテンの隙間から入ってきた光が眩しくてデュオは目が覚めた。
昨日ヒイロとのやり取りがあったせいか、頭に靄がかかっているみたいで気持ちが悪い。
とにかく顔でも洗ってすっきりしたくてベッドから降りる。
ぐにっとした感触に驚き床を見ると、いつの間にか敷いてあった布団から覗いている目とバッチリ合ってしまった。
「…足をどかせ」
ヒイロの言葉にパッと足をどけついごめん、と謝った自分に自己嫌悪をしてしまう。
(まさか同じ部屋で寝てるなんて・・・。しかも気がつかないで朝まで寝ていたなんて俺はヒイロに心を許しているのか!?そうなのか!?)
「良く眠れたか?」
と同じ部屋で寝ていたことに混乱しオロオロしてるデュオに問えば、苦虫を潰した様な顔をして逃げるように部屋を出て行った。
その後ろ姿を見たヒイロはこのまま住めそうだ、と口角をもち上げた。