ヒイロくんの恋人 夜
デュオを見た五飛はその場に目を開けたまま倒れ、レディは片眉を上げ、サリィは初め驚いたようだったがすぐに写真を撮りはじめた。ノインは意外にもサリィと共に写真を撮っていた。
原因不明で小さくなったデュオは結局どうしたら治るかもわからず、ここにいても騒ぎが大きくなるだけだと体が元に戻るまで自宅待機が命じられ、1人では生活ができないデュオのお世話をするためにヒイロに在宅の仕事を与えられた。
ヒイロが自分の部屋にこもってしまった今、喋る相手もいないのでデュオは1人床に転がり暇をもて余している。一応雑誌が置いてあったりテレビがついていたりしているのだが、体より大きな雑誌は読むのもページを捲るのも大変でテレビは面白い番組がなくてすぐに飽きてしまった。
いつの間にか寝ていたみたいで扉が開いた音で目が覚めた。近づいて来たヒイロを寝ぼけまなこで見上げれば手に大量の布を持っている。
「何だよお前仕事してたんじゃないのか…」
目の前に置かれた大量の布はヒイロお手製の洋服で、今着ているような動物の着ぐるみやいつも着ていた神父服まで色々な物があった。
「それだけではお前が困るだろ」
「まあそうなんだけどさぁ…だからってこんなに必要ないだろ?明日には元に戻ってるかもしれないんだし」
「一生そのままかもしれない」
「怖いこと言うなよ!一生風呂もトイレも1人で行けないなんて嫌すぎるっ」
ボフンと服の山に倒れて嘆くデュオの頭をヒイロがぐしゃぐしゃと撫でると頭が山にめり込んだ。なかなか上がってこない顔に心配になったヒイロはデュオの体を揺すってみるが全くの無反応でピクリとも動かない。
「デュオ…?」
声をかけると体が小刻みに震えだす。
「ばあっ!驚いた?お前力強いんだからもっと気をつけてくれよなー」
起き上がりいててと首の辺りを擦っているデュオにヒイロは安堵し、そっと頬に手をやる。
「あまり心配させるな…」
普段めったに見せないヒイロの表情にデュオは驚き、余りの心配そうな顔に罪悪感で胸が痛くなった。
「ごめん…」
いつもだったら意地をはり絶対に謝らないデュオが素直に謝るとヒイロは微笑む。そしてヒイロの珍しい感情表現を見れてちょっとラッキーかも…なんてデュオは思っていた。
いつもと違うぽあぽあ甘い空気が流れているそんな風呂上がり。
「いつも着てないんだしいいよそんなの」
「そんなことを言って風邪をひいたらどうするつもりだ…」
普段の時もヒイロの視線に弱いと自覚のあるデュオに、今の心配そうなヒイロの視線に耐えられるはずもなく渋々パジャマを着ることを了承した。
「で、またこれかよ!」
渡された服はやっぱりフードに耳が付いていて、色とお尻にちょっぴり付いた尻尾が変わっている。
「さっきのリス型だと寝るときに尻尾が邪魔だろうと思ってハムスター型にしたんだが…」
「そうじゃなくて!」
「それともウサギ型かコウモリ型の方が良かったか?」
「もういい…」
はぁとため息をつきハムスター型の服を着る。
(ヒイロって小動物好きなのか…?)
フードを被せ頭を撫でてくるヒイロに何となく聞きにくい雰囲気でいるデュオだった。
ヒイロの枕のわきにいつの間にかカゴが置いてあり、中にピッタリなクッションがはまっていて小さい枕と毛布の変わりと思われるタオルがその上に置いてある。何かあったら大変だからとヒイロが用意してくれたデュオ用のベッドだ。今日は色々なことがあって疲れたのかベッドに入るとすぐに眠くなる。
「ヒイロはまだ寝ないのか?」
「まだやることがある」
「そっか。お前もあんま無理しないで早めに寝ろよ…」
大きなあくびをしながらお休み〜とタオルの中に潜っていくデュオを確認するとヒイロは自分の机に戻り作業を始めた。
…そして朝
デュオが目を覚ますと何かモフモフした物が横にあった。寝た時には無かったその物体に驚いて飛び起き、横を見るとテディベアが何故か置いてある。大きさは調度今のデュオと同じくらいで、ご丁寧に添い寝するように置いてあった。ヒイロの机を見てみれば、いつも片付けてきれいにしているのに今は綿や生地それと裁縫道具が使ったまま置いてある。作った張本人を見れば、デュオが起きたことに気がついてないのか気持ち良さそうな顔をして眠っていた。
てっきりあの後仕事をしているものだと思っていたデュオは微妙な顔を作り、ヒイロの趣味っていったい…と思わずにはいられなかった。